| (2004.4.8) |
2月16日に東京・新宿で開催されたIPv6ビジネスサミットで、NTTコミュニケーションズの開発したネット家電接続管理システム「m2m-x」がデビュー、この方式に実験的に対応した各社の機器とともに展示された。このシステムと対応機器による実証実験は、2月16日から9月30日まで実施される。この試験の後、NTTコムは商用サービスとして展開していくという(開始時期は未定)。NTTコムはまた、この仕組みを国際的にも標準として推進していきたいとしている。
「m2m-x」という名前は「モノとモノの間の通信を」「X=何でもいつでもどこでも(実現する)」という意味でつけられたという。ネット家電間、あるいはネット家電とコンピュータ間のIPv6による通信を、簡単かつ安全に行える環境を実現することを目的とした仕組みだ。現在のネット家電の利用方法では、たとえばダイナミックDNSを利用して自宅に設置されたネットワークカメラに名前でアクセスすることが行われているが、これでは誰でも不正な操作や攻撃ができてしまう。また、ネット対応のビデオレコーダに対する録画予約では、インターネット上のサーバにユーザが登録を行い、このサーバに対してビデオレコーダが定期的にアクセスすることで更新データを取り込むことが行われている。しかしこれではリアルタイムな制御ができない。
M2m-xでは、こうした問題を回避し、ネットワーク接続された機器が、特定の相手と直接にやり取りするための管理機能を提供する。
接続相手の認証、通信の暗号化のための設定や、各端末に対するアクセスコントロールは「m2m-xマネジメントサーバ」が集中的に行う。この制御系のやりとりには、電話の呼制御などのためのプロトコルであるSIPを拡張したものが使われている。
たとえば、外出先のPCから、家庭内のある機器に接続したい場合、まずPCはm2m-xマネジメントサーバに自己を登録し、接続相手の機器に対する接続要求を行う。認証後、m2m-xマネジメントサーバは接続先である家庭内の機器に接続要求を伝える。この際にIPsecのための鍵設定もこのサーバが両者に対して行う。
m2m-xマネジメントサーバが仲介することにより機器同士が接続した後は、データは暗号化の上で、サーバを経由せずに、インターネット上をピアツーピアで送受信される。これにより、サーバに負担をかけずにセキュアに通信できる。
このシステムでは、「特定のノード間で特定のプロトコルの通信を特定の時間内だけ許可する」といった細かいアクセスコントロールも可能となる。許可のない機器にはそもそもそのノードの存在さえ見せないという設定もできる。鍵交換が軽いということも大きな特徴で、機器の低コスト化に寄与するという。
m2m-xのもとで、各社は以下のような対応製品プロトタイプを作成しており、実験に参加する予定だ。
ソニーブロードバンドソリューション
ソニープロードバンドソリューションは、USBカメラを接続したPlayStation 2によるテレビ電話システムを展示した。PCのソフトと違い、CD-ROMを入れればすぐに使えるのがゲームソフトの大きなメリットだ。あらかじめ登録しておいた接続先のリストから選べば通信が始められるので、面倒な操作が要らない。
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| ソニーブロードバンドソリューションのPS2ビデオ電話システム |
タカラ
玩具メーカーのタカラは、「インターネットを使った糸電話」をコンセプトとした「IP糸テレフォン(仮称)」を展示した。名称から想像できるとおり、2台の電話機がペアとなっていて、受話器を上げるだけで、ダイヤルすることなくすぐに相手とつながるインターフォンのようなものだ。2台の電話機には、それぞれイーサネットポートがついていて、相互の間の通話は、Voice over IPv6で行われる。ペアの相手とだけつながるようにm2m-xで管理されているので、接続は自動的に行われ、不正なアクセスを受けることもない。親友や恋人、家族など、親密な相手と会話するためのホットラインとして発想されている。
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| タカラのIP糸テレフォン |
IP糸テレフォンには「TOYポート」と呼ばれる玩具接続用のポートも付属していて、玩具のネット化も可能となっている。たとえば、このポートに人形を接続しておき、電話機のボタンを使ってリモートコントロールで歌を歌わせることもできる。
リコー
デジタル複合機メーカーのリコーは、「外出先で文書をプリントアウトする」という内容のデモを行った。たとえば、営業マンが外出先から自社内の自分のPCの中にあるファイルを呼び出し、目の前にあるデジタル複合機にプリントアウトするといったイメージである。
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| リコーのユビキタス環境でのプリンティングシステム |
このシステムでは、m2m-xマネジメントサーバとの通信に携帯電話が利用される。携帯電話に自分のPCや社内のファイルサーバに保存してある文書の一覧が表示され、印刷実行の命令を送ると、目の前にある外出先のデジタル複合機から出力される。文書の転送では通信が暗号化されるので、インターネットを経由したとしても傍受の心配なく、いつでもどこでも自在にオフィス内の文書を取り出して活用できるというところがポイントだ。
東芝
東芝は、すでにECHONETによる家電ネットワークサービス「FEMINITY」を展開している。これは、冷蔵庫やオーブンレンジ、ホームランドリーなどのデジタル家電とITホーム端末を、Bluetoothでネットワーク化しコントロールするものだ。ITアクセスポイントはブロードバンドに接続され、「フェミニティ倶楽部」というネットワークサービスに登録すると、料理のレシピなどをダウンロードできる。また、電子錠やセキュリティカメラをネットワーク化し、警備会社のサーバと連携するセキュリティサービスも、実証実験中だ。今回は、m2m-xの基盤の上にこれら2つを展開する複合サービスのシステムを構築した。
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| 東芝の情報家電・ホームセキュリティ複合サービス |
このサービスでは、携帯電話を使ってポータルサイトから操作のリクエストを送信すると、m2m-xマネジメントサーバが家庭内のホームサーバへそれを中継する。そしてホームサーバは、Bluetoothで接続されたそれぞれのデジタル家電を操作する。
パイオニア
パイオニアは、同社の得意とする高精細プラズマディスプレイを使った業務用ソリューションを展示した。ビジュアルデータ会議ソリューションとしてすでに製品化している「Cyber Conference System EV」を、IPv6とm2m-xに対応させたものである。このバージョンの製品化について検討していくという。
Cyber Conference System EVは、50V型という大型のプラズマディスプレイにPCを接続した製品で、アプリケーションやデータを遠隔的に共有できることが最大の特徴だ。電子ペンによる書き込み画面を共有できるほか、WordやExcelといったアプリケーションを共有できる。
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| パイオニアのビジュアルデータ会議システム |
このシステムはすでに製品として提供されているものだが、個々のデバイスごとにVPN接続をするm2m-xに対応することにより、拠点間VPNを構築するわけにはいかないような取引先などの相手とも手軽に運用できるようになる。現状のIPv4の世界では、IPsecというとアドレスを意識した設定が難しい。しかしIPv6とm2m-xを利用するこのシステムでは、電話をかける感覚で1度しか会議しない相手とでも、会議の間だけ会議システム間のみの安全な経路を構築できる。
三洋電機
三洋電機は、家庭同士を簡単につなげ、自在なやり取りができる「IPv6マルチメディアコミュニケーションシステム」を試作した。
このシステムは、デジタルスチルカメラ兼ビデオカメラとテレビをAV出入力端子経由で接続したIPv6対応ネットワーク直結ハードディスクレコーダと、アナログ電話をネットワーク接続するVoIP電話アダプタ、そしてm2m-xを終端するホームゲートウェイで構成されている。
電話で話している時に電話機の特定ボタンを押すと、ハードディスクレコーダによる通信が始まり、接続されているカメラからの動画像が相手のテレビに映し出される。この際、ハードディスクレコーダはMPEG-4のエンコードとデコードの役割を担っている。同様に、電話機の操作だけで、カメラに記録されている静止画を送ることもできる。
VoIP電話アダプタとハードディスクレコーダにはIPv6上のUPnPが実装されていて、ネットワーク接続された時点でお互いを認識し、コマンドをやり取りできるように自動設定される。このため、PCをまったく使うことなく、半自動的にコミュニケーションのための環境が整うようになっている。
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| 三洋電機のマルチメディアコミュニケーションシステム |
パナソニック コミュニケーションズ
パナソニック コミュニケーションズは、IPv4/IPv6トランスレーション機能やIPsecの終端機能を備えたホームセキュリティゲートウェイのm2m-x対応を行っている。これにより、m2m-xやIPsecに対応できない家庭内機器に代わって、m2m-xマネジメントサーバとのやり取りを行うことにより、外出先から家庭への安全なリアルタイムのアクセスを行うことができる。家庭内機器がすべてIPsecに対応できるかどうかは非常に難しい問題であるため、こうしたゲートウェイ装置の役割も期待される。
松下電工
松下電工では、家庭内のあらゆる機器をネットワーク経由でIPに接続する仲介システムとも言える「エミット・ホームシステム」をすでに販売している。現在では、IPv4に基づく仕組みであるため、アクセス制御や通信の秘匿性確保の観点から、同社のオペレーションセンターを経由した通信しかできないようになっている。そこで、今回の展示では、IPv6を用い、m2m-xによるアクセス制御やIPsecの管理を適用して、ユーザが直接にリアルタイムで家庭内の各種機器へアクセスできるシステムを展示した。
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| 松下電工のエミット・ホームシステム |
ヤマハ
ヤマハは、企業向けのブロードバンドルータ、「RTX1000」のファイアウォール機能を動的に制御する試作をしている。これは、M2m-xに対応した機器からのピアツーピア通信の許可要求に基づいて、m2m-xマネジメントサーバとの連携のもとでパケットフィルタリングのルールをその場で自動的に変更するというものだ。あらかじめ設定されたポリシーに基づいて、正しいピアツーピア通信のみを必要な時間だけ許すことができる。
NTTコミュニケーションズ
「m2m-x」上に展開するサービスとしてNTTコミュニケーションズが提供するのが、「pVPN(パーソナルVPN)」だ。これは、IPv6のIPSecによるVPNトンネルを構築、その中にイーサネットをカプセル化して通すことにより、家庭内LANをリモート環境にまで延長するというコンセプトである。イーサネット上で通信可能なプロトコルならばIP以外でもかまわない。PCなどのネットワーク機器だけでなく、デジタル家電などへも適用しやすい。これまでLAN内でしか利用できなかったIPv4アプリケーション、たとえば家庭内LANに接続されたハードディスクレコーダをWebブラウザで遠隔制御したり、録画予約するツールなども、外出先から使えるようになる。
この仕組みを提供するための仕組みとして、ディアイティ、東芝、富士通アクセス・アール・アンド・ディーの3社が、製品を提供している。
ディアイティは、「pVPN」を利用するためのVPNクライアントソフトとサーバソフトを、Windows XPベースで開発した。また、東芝は、既存のホームサーバ「Trans Cube」を改良した機器を提供している。このサーバ機器は日本の家電メーカーが家電の遠隔操作のためのプロトコルとして広く採用しているECHONETを話すことができるため、汎用的な家電へのリモートアクセス環境を提供できる。
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| ディアイティのpVPNサーバ・クライアントと富士通アクセスのpVPN対応モデム |
富士通アクセス・アール・アンド・ディーが展示したのは、IPv4とIPv6のデュアルスタックADSLアクセスモデムである。このモデムは、pVPNの枠組みの上でIPSecによるVPNトンネリングによってイーサネットの通信をカプセル化する。また、機器からのリクエストに応じ、IPsecセッションを通す穴をその場でファイアウォールに空ける機能も備えている。
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