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Global IP Business Exchange 2007レポート ~IPv4アドレス枯渇へのインフラ整備~

By kimura
作成日時 2008-01-07 10:07

 2007年12月11日、12日の2日間にわたり、東京のベルサール神田で、「Global IP Business Exchange 2007」が行われた。IPv6普及・高度化推進協議会の主催により、IPv6テクノロジーの利用とビジネスの広がりが早い段階で有望視される特定分野をテーマにおきながら、セミナーや展示を行うというイベントだ。
 ここでは、11日の午前中に行われた「基調講演」とセッション「IPv4アドレス枯渇へのインフラ整備」のレポートを行う。

基調講演

 最初のプログラムとして総務大臣増田寛也氏による基調講演がビデオ放映された。
 増田氏は、「総務省としてデジタル化をどのように進めていくのか、ユビキタス社会をどのように構築していくのかという課題に積極的に取り組んで、生活の豊かさにつなげていきたい」と述べ、IPv6については、「総務省としても責任を持ってインターネットのIPv6化の導入方策について検討し、具体的な施策を実施していきたい」と今後もIPv6化を推進していく姿勢を示した。

「IPv4アドレス枯渇へのインフラ整備」

 続いてセッション「IPv4アドレス枯渇へのインフラ整備」が行われた。
 このセッションは、「IPv4アドレスの枯渇はすべてのビジネス活動や社会活動に大きな影響を与えるものだ」としたうえで、ISPのIPv6へのインフラ整備状況を今後の課題を整理・展望し、必要なアクションプランの議論を行うというもの。
 モデレーターを東京大学大学院情報理工学系研究科教授で、このGlobal IP Business Exchangeのプログラム委員会委員長でもある江崎浩氏が務め、出席者は、総務省 総合通信基盤局データ通信課長の黒瀬泰平氏、NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長法人事業本部長の野村雅行氏、ソフトバンクBB/ソフトバンクテレコム/ソフトバンクモバイル ネットワーク本部執行役員本部長の牧園啓市氏、インテック・ネットコア 代表取締役社長の荒野高志氏の4名。

江崎浩氏
東京大学教授 江崎浩氏

 最初に江崎氏より、現在中国を訪れている慶應義塾大学の村井純教授からのメッセージが紹介された。メッセージによれば、現在中国では「行政システムを含めた全国展開」が進んでいて、IPv6に対応したネットワーク機器なども「大きなマーケット」になるようだとの見解を示した。さらに、日本で生まれたIPv6が中国で展開するというのはよいことだが、さらに「日本が産業として世界に貢献」していく動きに繋がると良いとして、現在そして今後のIPv6化への日本の動きが非常に重要であるとした。

総務省の取り組み

 続いて各パネリストからそれぞれ取り組みなどの発表が行われた。
 まず総務省総合通信基盤局データ通信課長の黒瀬泰平氏からIPv6移行へ向けた総務省の取り組みの発表がなされた。
 最初に、我が国のインターネット動向の状況説明が行われ、次にインターネット政策についての説明が行われた。
 IPv6政策については、「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」が来年の3月までに、IPv4枯渇の推計と対応、IPv6化実現の課題と解決方策、国際戦略などをとりまとめて、最終報告を行うとした。
 現在はまだ第二次中間報告の段階ではあるが、IPv4アドレス在庫の枯渇時期予測結果としては、国際的在庫の枯渇は2010年半ばから2012年初頭、国内で利用するアドレスの補充が出来なくなるのは2011年初頭から2013年半ばという見通しを示した。
 IPv4アドレス在庫の枯渇に伴う影響としては、IPv4アドレスが不足した場合には、ISPのみならず、多岐にわたる領域で影響がでるとした。
 対策が検討されているが、今後もさらなる望ましい方策について議論する予定だという。

NTTコミュニケーションズの現状と対応

 次に、NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長法人事業本部長の野村雅行氏より、NTTコミュニケーションズがIPv4アドレス枯渇のリスクにどう対処しているかという話がなされた。
 「今後新しいシステムを設計する場面ではIPv6対応を考えていくというのが重要なポイントになっている」と述べ、NTTコミュニケーションズでは、IPv4アドレス枯渇に影響されないIPv6対応を推奨し、ネットワークサービス&ソリューションを提供中であると説明した。
 NTTコミュニケーションズではすでにIPv6を先取りしてサービスを展開している。映像配信システムや緊急地震速報のサービスはIPv6マルチキャスト技術を利用しており、「サービスへの引き合いは増加している」と語った。
 さらに、IPv6対応は機器の導入だけでは解決できないとして、システム設計から、開発・施行、セキュリティー対策、運用ポリシー策定にいたるまで、人材・技術・サービスを準備しトータルで提供中であるとのことである。
 今後も、コンサルティング・SI体制をさらに強化するとともに、IPv6の特徴を活かしたサービスを順次提供していくと述べた。
 いち早くIPv6対応を行ったグローバルキャリアだけに、今後もその動向は最も注目に値すると言えるだろう。

ソフトバンクBBの現状

 ソフトバンクBB ネットワーク本部執行役員本部長の牧園啓市氏からソフトバンクグループのIPv6対応について説明がされた。
 Yahoo! BBでは2004年7月からトライアルサービスを実施しているほか、ソフトバンクテレコムのULTINA Internet、mpls ASSOCIOではすでに商用サービスが提供されている。
 ソフトバンクグループの次世代ネットワーク対応スケジュールとしては、2009年から2011年の枯渇までにNW全域におけるIPv6展開、移行を行っていくとしている。
 今後は、通信事業者としてネットワークを整備していくのは当然だが、併せてさまざまなサービスも展開していくという。
 「通信を使っての付加価値というものを提供することによってはじめて、v6アドレスは本当に必要になっていくのではないか」と牧園氏は述べ、ネットワークだけではなくサービスのこともよく考えて新たなv6プラットフォームを最大限に利用できる環境を作り上げる必要があると語った。
 ネットワークだけでなく、携帯電話、ポータル、証券、オークション、流通など、様々なサービスを抱えるソフトバンクグループだけに、その視点はネットワークのv6化だけにとどまらないという印象を受けた。

最後に

 JPNICの理事でもあるインテック・ネットコア代表取締役社長の荒野高志氏から、JPNICから出されたv4枯渇に対する検討報告書のことも交えて、話がなされた。
 枯渇対策としては、IPv4アドレス再利用、IPv4 privateの利用、IPv6の導入などが考えられるが、「全体の幸せを考えるとIPv6の導入だけが、唯一、全体的で永続的な解なのではないか」との見解を示した。
 IPv6導入の課題としては、「ある程度全体で対応を行っていかないと、対応策にならない。一部が対応を行って一部が行わないというやり方だと、全体的なコスト高を生んでしまう」という問題を挙げた。
 また導入の技術的課題として、今まではIPv4とIPv6のデュアルスタックをどうするかという話が前提だったが、今はそれが変わりつつあり、IPv4 globalだけでなくprivateとIPv6の共存という問題が出てきている。これは技術的にもう一度課題を洗いなおす必要があるとした。
 v6対応へのシナリオについては、まずバックボーン、インフラの整備が必要であると力説した。その後にサーバ事業者、家庭、企業と普及していくのではないかと見解を示した。

まとめ

 最後にモデレーターの江崎氏によりまとめが行われた。
 我が国におけるIPv6対応状況としては、大手のISPはほぼ完了あるいは対応中であるが、中小のISPは投資コストの面で苦戦している。企業のネットワーク、IDCなどは未対応な状況で、アプリケーションや製品開発はOS基盤やミドルウェアが対応済みであるにもかかわらず未対応な状況であるとした。
 ポイントとして、IPv4の枯渇により現在のインターネットが利用できなくなるわけではないが、新しいビジネスやサービスを行うのに支障が出てくることは間違いない。大きな投資が必要ではあるけれど、IPv6技術の導入をv4アドレスの在庫が尽きるまでには行わないとビジネス上のハンデを負うことになるだろうとまとめた。

パネリストの皆様
(左から)総務省黒瀬泰平氏、NTTコミュニケーションズ野村雅行氏、ソフトバンクBB牧園啓市氏、インテック・ネットコア荒野高志氏

 

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