スマトラ沖地震の復興支援のためのインターネットによる遠隔授業

スマトラ沖地震の復興支援のためのインターネットによる遠隔授業

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IPv6style編集部
青山祐輔


 2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震は、被災地に大きな傷痕を残した。その影響は教育機関にも及び、学校の設備が被害を受けただけにとどまらず、多くの教職員も命を落としたため、授業の実施が不可能となっている。

 被災からの復興には建物をはじめとするインフラの再建のみならず、人的資源も重要だ。しかし、教育機関が再建できない状況では、中長期的な社会の発展にも大きな影響が出てきてしまう。そこで、インターネットを介して国際間で大学の授業を共有する「SOI Aasiaプロジェクト」を利用して、教育面での復興支援が実施されることになった。

 今回、大きな被害を受けたインドネシア、スマトラ島アチェ州最大の国立大学であるシアクアラ大学に遠隔教育環境を構築し、日本やアジア各国から英語の授業を配信するほか、インドネシア国内の大学からの母国語による授業の配信を行うことで、より多くの学生が授業を受けられるようになった。

 「SOI Asiaプロジェクト」は、慶應義塾大学とWIDEプロジェクトが2001年より国際間の大学同士が相互に教育支援を行うために運営している。衛星回線を利用してアジア各国の大学に授業をビデオで配信して、授業を共有しようというものだ。

 現在のところ、バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、タイ、ベトナム、日本の12カ国、24大学(2005年12月現在)がパートナーとなっている。

 SOIは映像の配信に衛星を利用することで、物理的に高速なケーブルの引きにくいアジア諸国の島々にも、短期間で高速なインターネット回線を構築できる。配信を行う通信衛星へのデータ送信を行う中継サイトは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに設置されている。

 日本やアメリカの大学で英語で行われる授業を衛星で配信し、受信する側の大学はその授業を自らのカリキュラムに組み込める。特に時差の少ない日本の大学の授業の場合は、リアルタイムで講義を受けられるため、より効果的な遠隔教育が受けられるというメリットがある。

 今後の課題としては、ここまでSOIが大規模に発展してきたものの、体制的にはあくまでも研究プロジェクトの一環となっている点がある。したがって、運営のための資金、人材などの負担が一部の組織に負ってしまっている。今後はNPOなどを設立して、独立性の高い組織として運営できるようすることが目標だという。


プレスリリース

シアクアラ大学(インドネシア・アチェ州)への災害復興プロジェクト
〜遠隔教育による大学復興のための支援活動開始〜
http://www.wide.ad.jp/news/press/20051122-tsunami-j.html

SOIのネットワーク構成図。授業映像のデータは衛星経由で送信し、それ以外のトラフィックは地上回線を利用するようになっている。
SOIのネットワーク構成図。授業映像のデータは衛星経由で送信し、それ以外のトラフィックは地上回線を利用するようになっている。

1機の衛星で、アジアの多くの国をカバーできる。衛星を利用することで、低コストで広帯域な回線を実現でき、実用的な遠隔授業が実施可能となった。
1機の衛星で、アジアの多くの国をカバーできる。衛星を利用することで、低コストで広帯域な回線を実現でき、実用的な遠隔授業が実施可能となった。

実際の授業風景。時差が少ないため、リアルタイムに遠隔授業を受けられる。講師側からだけでなく、生徒側からも映像を送っている。
実際の授業風景。時差が少ないため、リアルタイムに遠隔授業を受けられる。講師側からだけでなく、生徒側からも映像を送っている。


※画像提供
慶応義塾大学 政策・メディア研究科 大川恵子助教授

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