米国陸軍の技術アーキテクチャ担当次官、ジョン・シップ氏は、陸軍におけるIPv6の状況と将来計画を説明した。同氏は、陸軍によるIPv6移行について国防総省の動きを完全に反映したものになるとする一方、2008年までに陸軍のネットワークを完全にIPv6対応にするのはコストがかかりすぎると話した。
シップ氏は、国防総省が、すべてのものをつなげるネットワークを中心としたオペレーションや戦闘における中核的な基盤として、IPv6は不可欠であることを認識していると話した。
Future Combat Systemなど、今後の主要な戦闘システムはIPv6が普及を始めたころに導入される予定であることから、こうしたシステムはIPv6で通信する能力を持たなければならないと話した。
国防総省と陸軍にとって、IPv6の提供するアドレス空間は重要ではないが、自動構成やセキュリティ、QoS、モビリティといった機能は重要である。しかし、こうした利点をIPv6が実際にどう実現できるかについてはまだ未知数だと判断しているという。
これまでのところ、陸軍では2003年11月にInitial Guidanceを発行し、さらに2004年4月には補足的なAdditional Guidanceを発行した。予算獲得や将来計画のために必要となる陸軍としての移行プランは、2004年6月30日までに発行予定となっている。さらにIPv6アーキテクチャが2004年9月までにまとめられ、大統領予算やPOMを通じた予算獲得につながっていく。本格的な導入は2005年10月より開始の予定だ。
「われわれは各種の移行メカニズムをどう使っていくかに関するアーキテクチャをまとめ、次に陸軍内部でのIPv6化に着手する。ただし、これは完全に国防総省のIPv6移行進捗に依存する。各システムにつき、いつ移行を実施するかは彼らが決断する。われわれは彼らに合わせて進めていくつもりだ」とシップ氏は話した。
陸軍ではまずコアインフラのデュアルスタック化を可能な場所すべてで実施し、次に周辺部のネットワークについて、技術的に妥当であり、コスト効率が正当化されるなら進めていく。「IPv4とIPv6は今後長期間にわたって共存すると思われるが、われわれはその共存期間をできるかぎり短くするつもりだ」
しかし、陸軍のネットワークすべてを2008年までにIPv6へ移行させるのはコストが高すぎる、とシップ氏は話した。2003年10月のInitial Guidelineでは、2008会計年度中のIPv6への完全移行が必須であることや、民生のIPv6対応製品が十分に入手可能であることを前提として試算を行った結果、18億ドル以上という結果になった。そこでAdditional Guidanceでは、前提を変えた試算を行った。2008年までの移行は必須ではなく目標とし、完全移行の終了予測は2012年とした。また、移行においては、設備の更新を最大限に活用(購入後5年以内の設備はアップグレードを不要とした)し、戦略的に重要性の低いネットワークは移行しないという前提も置いた。この新しい前提でコスト試算額は大幅に減少したが、それでもまだ高すぎるかもしれない、とシップ氏は話した。
同氏は、陸軍としては移行プランの練り直しを進め、移行は可能なかぎり現行予算レベルのなかで収める努力をしていくとした。一方、陸軍は戦闘システムに与えるIPv6の影響や、Moonv6などへの参加を通じて、リスク低減を図っていくと話した。
「陸軍の移行アーキテクチャ適用におけるかぎは、各移行メカニズムの利点や欠点、利用に適した場面などを明らかにするため、DISA (Defence Information Support Agency)や北米IPv6タスクフォース、Army Communication Electronics Research, Development & Evaluation Commandなどと協力して作成中の移行メカニズムガイドラインである。これを作成することで、IPv6へのもっとも経済的な移行方法を見出したい。すべてのネットワークがIPv6に切り替わる必要はないし、デュアルスタックになる必要がないものさえあると思う」とシップ氏は話した。
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