北米IPv6サミット報告(前編)

北米IPv6サミット報告(前編)

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 6月14〜17日に米国カリフォルニア州サンタモニカで開催されたNorth American IPv6 Summitには、特に国防関連ビジネス関連で多くの参加者が見られた。サミットではIPv6技術自体についての現在の課題のほか、国防総省のIPv6移行についても多くの時間が割かれていた。前編では、ヴィント・サーフ氏、ラティフ・ラディッド氏、そしてトム・メイヒュー氏のスピーチについて報告する。


IPv6とソフトのアップグレード

 MCIの技術戦略担当上席副社長で、インターネットの父の1人と呼ばれるVinton Cerf氏は、自身の家庭用に追加のグローバルアドレスをもらおうとして1アドレスあたり5ドルを請求すると言われ、「私がインターネットを発明したのに」と思ったというエピソードを紹介し、現在のIPv4アドレスを巡る不便さを説明した。
 インターネットは新しい地域に広がりつつあり、冷蔵庫やデジタル額縁など、いろいろなものがつながりつつある。日本では、自動車のワイパーの動きを検知するセンサーの情報を集め、正確な天気情報を作り出す実験をしていると聞く。
 IPv6はIPv4とは違う形で広がっていくことになる。IPv4ははっきりとした中核部分から始まったが、IPv6はばらばらに周辺部分から始まっていく。そしてIPv4とかなり長きにわたって共存していくことになる、とサーフ氏は話した。
 各端末は、シングルスタックにするか、デュアルスタックにすべきかがよく議論の対象となる。しかし、シングルスタックでは、インターネットワーキングが問題になる。自分と同じプロトコルの相手としか会話できないし、サーバがシングルスタックの場合はプロトコル変換が必要となる。
 ネットワークサービス側のソフトウェアでは、ルータやネットワーク管理、DNSのリゾルバとサーバ、レジストリやwho isデータベースにIPv6対応が必要となる。ISPのプロビジョニングソフトウェアやバックオフィスのソフトウェアも2つのプロトコルに対応しなければならない。名前解決ではIPv6もサーバ中心の仕組みを使う。しかしDNSに代わって新たなランデブーメカニズムで、ピア・ツー・ピア通信の相手を見つけられるようになるかもしれない。
 最終的な結論としては、IPv6に関する開発の要件を知るため、さらに数多くの分析や文書が役に立つ。ISPのIPv6サービスを促進するには、アプリケーションからの働きかけが必要となる。IPv4が完全になくなることはないと考えられる。しかしより大きなアドレス空間を手に入れるためのもっともクリーンな方法がIPv6である。
 IPv6 Forumの議長、Latif Ladid氏は、Geoff Huston氏の行った「IPv4アドレスはしばらくの間枯渇することはない」とした予測を取り上げながら、Huston氏も世界のすべてのNAT、インターネットゲートウェイ、DHCP、アプリケーションゲートウェイが存在しなかったとしたら、すでにIPv4のアドレス空間は使い切っていただろうと認めていると話した。「NATは制御のために存在するが、IPv6は自由のために存在する」とLadid氏は話した。ITベンダーは最近、オンデマンドコンピューティングやユビキタスコンピューティング、オーガニックコンピューティングなどについて話すが、これは氏が「フュータイルコンピューティング」と呼ぶものにつながっていき、IPv6の目指す世界に重なっていくと話した。「IPv6は重力のようなもの。逆らいようのない力だ」と氏は話した。

「ネット指向」が意味するもの

 Tom Mayhew氏は、米国の軍事におけるITの役割の変化について話した。同氏によると、米国の軍事当局は1940年代以来最大の変化を経験しようとしている、という。当時は、自動車が陸軍兵力のための有効な輸送手段であることが認識され、これが1950年代には州間を結ぶハイウェイに関する法律となって、すべての米国人の生活を変えることになった、という。
 Mayhew氏はオラクルの技術ビジネス部門の上席ディレクターであり、DoD内でオラクルを利用している組織ユーザーのためのエンタープライズソリューション・アーキテクトとして活動している。
 自身のDoDとの間でのさまざまな経験を踏まえ、Mayhew氏はIPv6について、米軍の志向するNet-centric Operationに不可欠なものであり、1940年代の変化よりも大きな改革を意味する、と話した。同氏は陸軍が軍としての輸送手段を補完するため、宅配便を活用している例を挙げ、米軍もスピードへの対応の必要性から、民間の技術を積極的に活用せざるをえなくなっていると話した。
 民間ビジネスの世界における成功例は、米軍の業務にも影響を与えざるをえない、とMayhew氏は言う。UPS、アマゾンコム、デル、GEといった企業は、皆世界の市場を相手にしており、資産の利用率が非常に高く、物事への対応に要する時間が非常に短く、世界的にインフラを持っており、個人の単位で市場を考えており、短期のサイクルで技術利用を図っており、市場サイクルについても月単位で考慮していると指摘した。Mayhew氏は、米軍も世界的なプレゼンスを保つ必要があり、短い反応時間で効果を最大限に重視した業務を行なわなければならなくなっていると話した。敵はもはや定型的なものではない。敵の認識から行動に至るサイクルを凌駕するためには、技術サイクルも高速化が必要だという。
 迅速な判断と行動のためには、現在および未来の軍隊は多様な情報を統一された形で共有できなければならない。その情報とは、たとえば兵器の構成、戦力へのダメージ、的の脅威の程度などである。軍事用の情報システムはデータ指向のアーキテクチャに基づいて提供されてきた。しかし、最前線で情報を入手し、共有する必要性が、ネットワーク指向の情報管理を要求する、と指摘する。
 Mayhew氏は、米軍にとって新技術を積極的に取り入れていかなければならない必要性も高まっているとした。そしてネットワーク指向オペレーションは、まだまだ前線の兵士には行き届いていない考え方だと話した。


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