IPv4アドレス在庫枯渇の問題は以前から何度もとりあげてきたが、最近になってこの動きが慌ただしくなってきている。
昨年12月に日本ネットワークインフォメーションセンター(以下、JPNIC)が「IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書(第一次)」を発表。今年に入って1月8日には総務省の「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」から在庫枯渇とその対策についての中間報告が出された。また、2月には同じく総務省の「インターネット政策懇談会」の第1回会合が行われ、公開された「インターネット政策の在り方に関する検討アジェンダ」の中で、IPv6への移行が市場構造に与える影響についての検討を行っていく旨が示された。
このあたりでIPv4アドレス在庫枯渇の問題をいったん整理してみたいと思う。
- 「IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書(JPNIC)」
(http://www.nic.ad.jp/ja/pressrelease/2007/20071207-01.html) - 「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会(総務省)」
(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/index.html) - 「インターネット政策懇談会(総務省)」
(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_policy/index.html)
在庫枯渇の時期について
IPv4アドレス在庫枯渇の問題とは、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)からRIR(地域インターネットレジストリ)、RIRからNIR(国別インターネットレジストリ)へと分配されるアドレスがなくなってしまうということである。
このIPv4アドレスの在庫がいつ枯渇するのかという予測については、有名なAPNICのチーフサイエンティストであるGeoff Huston氏のサイト「IPv4 Address Report」(http://www.potaroo.net/tools/ipv4/)が参考にされることが多い。
同サイトによれば、2008年3月19日現在、
- Projected IANA Unallocated Address Pool Exhaustion: 21-Jul-2011
- Projected RIR Unallocated Address Pool Exhaustion: 08-Nov-2012
ということで、IANAの在庫がなくなるのが2011年7月21日、RIRは2012年11月8日となっている。この予測は日々更新されていくわけだが、この予測は年々と早まっている傾向にある。この予測が開始された2003年8月の段階では、IANA在庫の枯渇が2021年、RIR在庫の枯渇が2022年という予測であったことからも、その加速具合がわかる。
2007年12月7日にJPNICから提出された「IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書」では、各RIRごとに需要予測のシナリオを設定して、アドレス消費を予測している。
これによれば、「Geoff Huston氏の予測より早く」IPv4アドレスは枯渇することが予測されている。特に、RIPE(ヨーロッパ、中近東、アジアの一部地域)、APNIC(アジア太平洋地域)、AfriNIC(アフリカ地域)等で需要の急速な伸びが見込まれ、2011年初頭にはアドレス空間の上限に達するであろうとしている。ブロードバンドの普及が経済のより一層の活性化を促し、その相乗効果でIPアドレスの需要が「級数的に拡大する」という。
また、総務省のインターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会ワーキンググループ(以下、IPv6移行WG)でもほぼ同様の予測結果となっている。
2008年10月16日の第2回会合での発表資料「IPv4アドレス在庫の枯渇時期の予測について」によれば、特段の事情変更がない場合、IANAの在庫がなくなるのが2010年半ば~2012年初頭、日本国内で利用するアドレスの補充が不可能となるのは、2011年初頭~2013年半ばと予測している。
JPNIC、IPv6移行WGともに、独自なアプローチにより、精密な予測の前提と詳細なデータをもとに予測を行なっている。そしてその結果、それぞれの予測は、おおよそ同じ時期にIPv4アドレスが枯渇すると予想している。2011年初頭には、LIR(ローカルインターネットレジストリ)やISPが、RIRからIPv4アドレスの割り振りを受けられなくなるという予測は信頼性が高いといってもいいのではないだろうか。
- IANAのアドレス状況のサイト
- 「INTERNET PROTOCOL V4 ADDRESS SPACE」
http://www.iana.org/assignments/ipv4-address-space


