~2008年6月マイルストーンの達成基準
Dale Geesey(シニアパートナー、SynExi)
Dr. Chuck Lynch(シニアパートナー、SynExi)
はじめに
どんな仕事でも、それを成功させるためには、目標を設定して達成度を測る方法を確立することが大切だ。技術的な仕事についてわれわれが常に強調しているのは、あなたが成功の意味を明確にしておかなければ、他の誰かがそうするということだ(おそらく、ほかのどんな仕事でも同じだろう)。そしてまず間違いなく、他の人がいう成功の意味とあなたが考える成功の意味は異なるはずだ。ときにその違いは大きなものになる。これは、IPv6に移行しようとしている米国政府機関(United States Governments: USG)にも、そっくりそのまま当てはまる。
マイルストーンを理解する
われわれは国防省(DoD)のIPv6移行戦略を策定するにあたって、国防省の組織全体にIPv6を段階的に導入していく、一連のマイルストーン目標(Milestone Objectives: MO)を設定した。MOにはそれぞれ、目標の定義、目標達成期日、達成基準がある。これは、仕事が成功したと言えるために何が必要なのかということが、国防省のすべての組織にとって明確になるようにするものだ。このアプローチによって、セキュリティが強化されただけでなく、運用性が向上し、リスクを抑えることもできた。
USGのマイルストーン
米連邦行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)は、すべての連邦政府機関をIPv6に移行させる計画を立てたとき、移行計画の作成にあたって各機関が達成しなければならない複数の仕事を明確にし、次のように2008年6月30日を最初のマイルストーン(里程標)に設定した。
「政府機関のインフラストラクチャ(基幹ネットワーク)はすべてIPv6を使用し、政府機関のネットワークはこのインフラストラクチャとインターフェースで接続されなければならない。政府機関は、この達成期日に向けた進行状況をEA移行戦略の報告書に入れること。」
われわれがこれを最初のマイルストーンと呼ぶわけは、これが政府機関の組織全体を移行させる第一歩だからだ。2008年6月は完了日ではなく、長期にわたる移行サイクルの開始日となる。USG最高情報責任者(CIO)評議会のIPv6作業部会は、政府機関にもっとわかりやすい指針を与える必要があることと、特にこのマイルストーンから見た「成功」の意味を良く理解した上で、次のような達成基準を作成した。
- 「各機関は、IPv4の機能やネットワーク・セキュリティを犠牲にすることなく、少なくとも以下に挙げる機能が実行可能であることを示す必要がある。
- ・IPv6トラフィックを、外部ネットワークから、コアを経由し、アクセスおよびディストリビューション・ネットワークへと伝送すること。
- ・IPv6トラフィックを、アクセスあるいはディストリビューション・ネットワークから、コアを経由し、外部ネットワークへ伝送すること。
- ・IPv6トラフィックを、アクセスあるいはディストリビューション・ネットワークから、コアを経由し、別のアクセスあるいはディストリビューション・ネットワーク(または同一のアクセスあるいはディストリビューション・ネットワーク上の他のノード)へと伝送すること」
マイルストーン達成を明示するには
さて、これで政府機関に、マイルストーン、目標、達成期日、そして達成基準が与えられたわけで、これですべてが明確になっただろうか。いや、必ずしもそうではない。IPv6作業部会は現在、追加的指針となる汎用テストプランを策定中だ。政府機関はこれを使って、達成基準を満たしたかどうかを示せるようになる。このテストプランは共通のテスト一式を提供するが、各政府機関は独自の実装と目標に基づいて、それぞれプランを調整する必要があるはずだ。OMBが立てた方針は非常に高いレベルでのもので、各政府機関はその方針に沿いながらも独自の方法を開発すべきだということを忘れてはいけない。2008年6月のマイルストーンに向けて、政府機関は次のようなことを常に念頭に置いておくべきだ。
- ・セキュリティ: セキュリティはきわめて重要で、これが損なわれることがあってはならない。各政府機関はIPv6を導入する際に、セキュリティポリシーを満たす方法を含む、明確なIPv6セキュリティ・プランを作る必要がある。
- ・テスト: 開発中の汎用テストプランからスタートするのはいいが、政府機関はそれぞれ独自のニーズを理解しておく必要がある。すでに設置されているIPv6テストラボを利用して、そこに蓄えられた専門知識にアクセスし、時間と費用を節約するのが望ましい。
- ・トンネリング技術: 自分が所属する政府機関がIPv6に移行するとき、どこで、どのようにトンネリングが必要になってくるのかを理解し、自分のニーズに合った適切なセキュリティ・アーキテクチャを構築する。適切なプランに従って使えば、トンネリングは貴重なツールになる。
- ・トレーニング: 自分の所属する機関が、技術面でも管理運用面でもIPv6を理解し、移行準備が整っているようにする。エンジニアや技術者を訓練するだけでなく、管理者やプログラム・マネージャーも教育する。所属する政府機関の移行戦略の特性についても訓練しておく。
今回のまとめ
IPv6への移行に際して注意すべき分野をいくつか紹介してきたが、移行サイクルを通じて政府機関が考えなければならないことはまだまだある。移行を成功させる雰囲気を作るためには、あなたが所属する機関の内外で移行方法についてよく話し合うことが重要だと、われわれは確信している。このような働きかけとコミュニケーションは、あなたの機関のIPv6移行を今後も継続して支える資金を獲得するためにも必要なことだ。
では来月まで、よい移行を……。


